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四月の終わり

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鳥取赤十字病院で腫瘍の切除をして、退院したそのあとは、その傷が癒えるまでは何もすることがないんです。

これが4月の30日までは治療はない。

この期間には、副作用が心配されるBCGの使用もないし、予想するに一番気持ちの軽い時期です。

だが、以前から通っているN診療所には一か月に一度行かねばならない。

これは血圧の関係です。

行ったのが4月の28日だったかな。

診察室で、いつもなら、患者専用のあの丸い椅子、背もたれのない、医者の前に座る丸い椅子、あれに座るんだが、この日は違った。座る前に「アレはどうなったかいなぁ?」との問い。

「あぁ、アレですか?ちょっと待ってください。」カバンから一枚の書類を出して見せました。

これは手術後4月の初めに手術で取った腫瘍の分析の結果が記してあるものです。

「これコピーしてええか?」

「はい、どうぞ。」

それを見ながら、この院長先生はさらに問うた。

「で、どうなった?」

「筋層まで達してなかったんで、4月30日からBCGだそうです。」

「あ、そうか。その時に担当の先生はBCGか他のか、とか、聞かなんだか?」

「いいやぁ、最初からBCGでした。6回するっちゅうことでしたで。」

少し部屋の空気が軽くなって、この院長先生はカルテにその分析の書類を張りながら「日赤に紹介したのはどこだったかいなぁ?」とのさらに軽口。書類見ながら声が少し笑ってる。

紹介状をもらいに行くとき鶯餅を6個土産に持って行ったのは誰だいなぁ?と聞きたいで。とは言わなかった。

これはどういうことかというと、

膀胱腫瘍というのは、治療方法として大きく二つに分かれるのです。

膀胱を取るか取らぬかですよ。

腫瘍が上皮から進んで、筋層、要は筋肉層まで浸潤していると、極めて転移の恐れがあるんで、膀胱切除となるんです。

ワシの場合は取らずに済んだんですよ、今のところ。

いや、将来はどうなるか分からんから。

で、院長先生は分析書を見ながらさらに言った。

「治療方法が決まってよかったなぁ。」

いやぁ、この言葉はなにか肩が軽くなったような、少しホットした言葉でした。

で、この数日後からBCGの膀胱投与が始まるんです。

一週間に一回。

一回目は4月30日。

これって、あれですよ。

どこから入れると思いますか?

そうですよ、あそこからですよ。

カテーテルをふにゅっと奥まで入れて、さらにBCGを入れる。

普通は膀胱から尿道へ尿を出すのが当たり前で、カテーテルをあの先っちょから入れるなんてのは、逆走ですよ。

痛いし、一時間後にBCGを排尿するんですが、その時に空気まで出る。

ま、がまん、だと思っていた。

そして、一週間後に二回目の注入があったんですよ。

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