髪が伸びた。
耳に掛かりだすと気が悪い。
さらにこの時期暑いしなぁ。
切りたい。
だが、いつも行く散髪屋さんは閉店してしまった。
我が家から二番目に近い散髪屋さんであった。
一番目は弊店から東を見るとすぐそこにある鋳物師橋のそばにあったY理容所であった。
ここに通ったのはながかった。
幼児の頃から50代くらいまでだろうか?
だが、その散髪屋さんも年とって、その店を閉めても特別に散髪をしてもらってた。
最後になるにつれて、理容所の店内は倉庫のようになっていき、髪を切るときには、おじさんは喘息のように息を切らしながら刈ってくれていた。
丁寧ないい腕をした職人であった。
いつも二人で散髪をしてくれてたYさんご夫婦は先におじさんが、ついでおばさんが亡くなって、もう数年たつ。
二番目に通ったのが、弊店から二番目に近いF理容であった。
ここもたいてい夫婦で散髪をしてくれたが、このおばさんがものすごく喋る。
性能の良すぎる機関銃であった。
逆にご主人は言葉少ない人であった。
ずっと癌であり、それでも続けていたが、今年の春ごろだったか、足を骨折して、入院中は休業していた。
店にウオーキングマシーンを置いて頑張る気持ち十分であったが、加えてさらに最近腎臓が弱ってしまい、ずっと立っていることもできないとのこと。
困った。
どこ行こう?
女将なんかは、あそこに行けばええだが。という。
あそことは、鋳物師橋の二つ上流に掛かる市場橋の角に散髪屋さんが古くからある。
これが、変わっていて、〇〇理容とかの屋号が入り口のとの大きなガラスにも書いてない。
名無しの理容店である。
ひょっとして「注文の多い理容店」なんぞかもしれないで。
結論めいた結論としていっそのこと、電気屋からバリカン買って、女将にしてもらおうかと考えている。
いまさらかっこつけるでもなし、うまく刈れないなら坊主でもいいじゃないかと、そんな風に思っている。