先回からの続きです。
あまりにもいい加減な日本陸軍。特に秀才作戦参謀の無謀さ、独善、泥縄的な戦争指導とあとがきに書いてある通りこの犠牲になるのは徴兵された家族のある兵たちです。
で、筆者がノモンハン事件を調べるうちに感じたことが記してあります。
「もっと底が深くて幅のある、ケタはずれに大きい[絶対悪]が二十世紀前半を動かしていることに、いやでも気づかされた。かれらにあっては、正義はおのれだけにあり、自分たちと同じ精神をもっているものが人間であり、他を犠牲にする資格があり、この精神をもっていないものは獣にひとしく、他の犠牲にならなければならないのである。
それほどに見事な[悪]を彼らは歴史に刻印している。おぞけをふるうほかのないような日本陸軍の作戦参謀たちも、かれらからみると赤子のように可愛い連中ということになろうか。およそ何のために戦ったのかわからないノモンハン事件は、これら非人間的な悪の巨人たちの政治的な都合によって拡大し、敵味方にわかれ多くの人々が死に、あっさりと収束した。そのことを書かなければ、いまさら筆をとることの意味はない。ただしそれがうまくいったかどうか。」
と。
時間があれば読んでみてください。半藤一利著「ノモンハンの夏」です。