「戦場から届いた遺書」という本なんです。著者は辺見じゅんさんです。
これ女の人なんですよ。あの角川文庫というか、角川映画というか、そう、角川春樹さんの姉さんなんです。才能ある一家というのは、やはりあるんでしょうか。
それはさておき、この本、涙無くしては読むことができません。
若き特攻隊の手紙とか、遺書のつもりで書いたものではなく、結果として遺書になってしまったのもあり、あまりに悲惨な状況の戦局であり、やっと生き残った兵士は遺族へ報告に行けなかったものが、数十年たちやっと報告したとか、なんとも言いようがありません。
戦場に主人を、息子を、兄、弟を取られた家族は大変です。生活がたっていかない。
以前に読んだ山本七平さんの書いた日本軍とを合わせ考えると、なんか、腹が立ちます。
責任者というのか、軍隊で位の高い将官たちが何も考えてない、人間を忘れた人たちが多かった。
シベリアへ抑留された人たち、これって、民間人もあったんです。ましてや昭和31年まで収容所へ入れられた人も多い。スターリンのくそったれですよ。冷下数十度の収容所、さらには碌な食事もなし。これは奴隷です。
みな家族を想って死んでいったのですが、そんななかで、この本でも最後のほうに編集してあるのだけども、シベリア収容所からの遺書はとてもすごいですよ。
書いたものは取り上げられるので、仲間がその長い遺書の文章を分担記憶して、後に記憶を文章にして、次々とその妻へ、子供へと届けるんです。
しかもその文章がすばらしい。自らの死期が近いからそうなのか、いや、そうじゃない、長い捕虜生活でも強い意志をもって生きてきた、だから書けたのだろうと思います。
この奥さんも一生懸命生きた。大変な苦労だが、立派に生きた。
一度この本読んでみてください。