さて、5日目の写真展です。
いやぁ、この日はトンと人が、来館者がない。
天気は良かったと思うが、人は来ない。
GWなのにねぇ。
だが、ついに来た。
玄関の戸が開く音だ。
少し派手目の、少しおばあさんである。
元気に上がってきて、近くの写真から見始めた、、、というより干渉するには早い歩き方。
半周して、私に一番近くに来た時、茶色の紙製買い物袋の持ち手をグーの握り方で持ち手を握り、こちらへ突き出した。
その時に気が付いた。
「あ、Kさん!!」思わず大きな声を出してしまった。
旧姓Kさんの目はマスクの上で微笑んでた。
中をみるとバラの花束であった。
高三の時同じクラスでした。
話をしたことなんか覚えてない。
覚えているのは飾り気のない人で、わがクラスでは優秀な成績だったと思う。
最後の同窓会へ来ていて、いやぁ、この時は派手だった。
若い姿というのか、服は説明ができないが、変わった白髪の刈り方で、赤いルージュ、口紅を堂々と塗っていた。
私の隣に座ってたんで、少し言葉をかわした。
それだけであった。
で、案内状を送った。
彼女は言う。
「F(ワシ)さんまんじゅう作ってんの?」
「うん、作ってる。」
「へぇ、そう。」さらに続けて「あのさ、最初道路に車止めてここに来たの。そしたら駐車場あるじゃない。また車に帰って、ここに来たの。案内状に携帯番号書いときなさいよ。そしたらここもすぐにわかるし。」
「はい、すみません。」
こんなにぽんぽん言うクラスメイトだったろうかと、あとで思うんですが、土佐の大学に行ってたから、いごっそうの気質が身についたのか。
さらに、まだ言う。
「案内状さ、〇▽って書いてあったわよ。気持ちはわかる。」
これは同窓会名簿を見ながら書いたのですが、旧姓は◇▽さんで、現在は〇◎さんなんです。
つまり現在の苗字と旧姓の苗字をミックスして描いてたわけです。
だから私はまた「すみません。」でした。
この旧姓Kさんとこんなに話したのは初めてでした。
で、「孫の世話をせないけんだが。」と帰っていきましたが、玄関で靴を履いているのを見たときに思い出した。
このKさんは靴下をはかない人だった。記憶ではそうだった。
このこぶし館でも素足にスニーカーであった。
一人になって、もらったお祝いの紙袋を開けて中をもう一度見ると、カードが入ってた。
「写真展ていいですねぇ。」と自筆で書いてあった。