ときは平成二十六年薫風香らぬ因幡の五月の二十日過ぎ。
む?今日は西へ向かってからくりが飛ぶのではないかなとなにかが告げる。
よし!とばかりに顔を洗って外へ出た。
9号線はすいすい走って、すぐに伏野へ着いちゃった。
07:05が出発のじかんです。
はは、だが実際に離陸するのは07:10過ぎですよ。
時刻表に載せてあるのはターミナルビルの前を動き始める時刻なんです。
だから、それでもいそいで砂の上を800メートルほど歩かなならん。
急ぐとけっこうきついかな。
片道1,600歩。
かって鳥取砂丘で訓練した鳥取連隊は足腰強かった。
私はその息子の世代であればそうは強くないんです。
まぁ、それでも時間は余裕がるらわなぁ。
だが曇ってる。
予報では昼からでないと晴れない。
まぁ、曇りの日の灰色の機体もええで、と、なにかに動かされてる。
浜昼顔の花ばかりが目に映るんですが、思ったより紫がかってると思う。
ところが少し歩くと紫が薄くなったり、濃くなったりのピンク色。
どうなってるのかようわからん。
と、あらら?青空が、青空がでてきたで。
そりゃぁしっかりとした光があるほうが金属の機体には似つかわしい。
ええで、これは、と思ったんです。
もちろん間に合ったんです。西の端。
吹流しは東の方向へ流れてた。
案の定からくりは西へ、こちらへ離陸してくるぞ。
さらに陽が、滑走路の一部ではあるが照らし出した。
これは、もう、やってきましたです。
チャンスは前髪をつかめ。ですよ。
その前髪が滑走路の上をこちらへ方向を変えるためにゆっくりと東端に向かってる。
ほら、やっぱりこっちへ来るぞ。
こちらへおもむろに機首を向けようと動いてる。
これ、2kmの距離があるんですよ。
音もあまり聞こえない。
風の音のほうが耳を覆う。
で、ほら、こちらにしっかり向いて、少しの間停止した、ように思えた。
点灯したライトが三つか?見える。
さらにスロットルが開かれてる。どうも。
おもわず「おぅ、来るで、もうすぐだで。ほらエンジン上げたで。ほらほら、動き出した。」と言葉がでてくる。
エンジン全開で機体が震えてるのが感じられる。
つづく。
食事だ。早く食べんといけんだわぃ。