私の記憶があるずっと昔から店の高いところ、中央にかけてあった丸い時計です。
ボーン、ボーン、ボーンと時刻を知らせてた。
その店は、昭和27年の鳥取大火のあとに建てたものでした。
りっぱな建物ではなかった。
その後やっと店舗改装し、この時計は我が部屋の壁へ掛けていました。
針はうごきませんでしたがね。
いつかやくにたつだろうと、ずっと壁に掛けてしまってた。
現在の店舗を作ったとき、動かないままでその店へ登場させました。
だって、新しい店をこの時計に見せてやりたかった。
そのときある時計屋さんが分解掃除させてくれないかと、そんな話もあった。
でも、この費用がけっこう高かった。
そのまま8年間ほど店のすみっこの壁に動かないまま12時にして掛けていました。
で、四代目の知り合いに時計屋さんがいるんです。
以前から。
それは知ってた。
最近数日この丸い時計が消えてた。
四代目が分解掃除をしたんですよ。
いや、手を下したのはその時計屋さんですで。
動きますがな。
ぼーん、ボーン、ぼーんと鳴りますがな。
古い音ですよ。
時計屋さんが言うのには、その内部に記録が書いてあって、昭和19年と27年だったかな?オーバーホールされたようです。
ということは、祖父はきっと火事後に中古を買ったに違いない。
さらに、新品の時には100万円くらいはしたろうとの言葉。
エッ?!!!!なんと!
でも今では5万円とのことです。
まあ、ええがな。
動き出したし、鳴るがな。
昔の時が帰ってきたんです。
この音を聞きに来て下さいよ。
今まだ調整中で時間が進んでいたり、遅かったりしますが、文字盤の針がその時間を示すとその数だけ音を鳴らして時を知らせます。
昭和の音ですよ。