何時だったのか時刻もわからない。どのようにして帰ってきたのかわからない。 「あんたぁ昨日タクシーにお金払ったのおぼえとるでや?」
の女将の言葉から判明してくる昨晩の有様。
タクシーで帰ったらしい。
実際女将の部屋の炬燵の上に領収書があるんです。
で、玄関のドアをはいるなり
「お金払ってぇなぁ。タクシーの550円!」と叫んだらしい。
その後にまたタクシーに乗って話を運転手としてたらしいんです。これが!
このとき領収書をもらったんでしょうね。それだけじゃなく名刺までもらってる。でもどんなことを話したのかまったく覚えてないんです。
さらに私の掌には950円をもってたそうで、なんでタクシー代を払え、などと言ったのだろう。
不明だ。
その後、一度自分の部屋へあがり、パジャマをもって降りてきたらしい。風呂にはいるつもりであったらしい。
「おかあさんがはいっとんさるで。」
と女将の言葉に、冗談だろうが
「一緒にはいるかな。」
などと、しかし、ソファアにごろんとなってしばらく待ってたらしいが。
「やっぱり寝よ。」
と二階へあがってしまったようである。
だから朝着替えた下着が床にちらばってたんだ。でも寝る前に歯をみがいたんだろうか?わからん。
なんか気分は毎日と同じだったんですがねぇ。
だが、はじめて昨日は記憶喪失だったことに女将の言葉で気がついたんです。
昨日は鳥取のお菓子屋さんの集まりである「十三日会(とみかい)」があって、その後長老に誘われて別の飲み屋さんへ行ったんです。
飲みすぎたようだ。
それもかなり、かな。
最初一次会では生ビールを二杯。後は燗酒を何本かな?とにかく酔っ払ったのだ。どうも。
その十三日会には四代目が送ってくれたんですが、小雨模様で傘をもっていったんです。こんな日は傘を忘れやすいので気をつけないけんぞ。と、思いながら助手席に座ってたんですが、ちゃんと忘れずにもって帰っていたようです。
カバンももって帰ってた。
たいしたもんだ。
記憶もないほど酔っているのにちゃんと忘れずに、もって帰ってる。それどころかタクシーの領収書ももらってる。さらに名刺までもらってる。
これは酔っ払いとは思えない仕業である。
でも、ウン、運転手さんごめんなさい。
女将にも、ごめんなさい。