仏7寸5分とは縦横7寸5分の箱におさまる仏事に使う三つ菓子です。
全部餡です。
これは鳥取特有の在りようではないかと思うんですが、料理菓子というものがお祝いにも、仏事にも使われたんです。
他の地域にはないありようです。
最初は落雁で作っていたようです。
婚礼なんか鯛、料理菓子、三つ菓子と三段重ねを注文する方もありました。
それも今は昔です。
現在はめったにない注文です。
で、その注文はは東京からの電話でした。
受話器をとったのは店舗補佐のたおちゃんでした。
最初は仏事の6寸5分、7寸の話でしたが、結局7寸5分に落ち着きました。
注文主は鳥取出身のおじいさんのようでした。
配達先が鳥取の某温泉宿泊施設でした。
当日の日曜日に配達したのは4代目と女将が担当したんです。
私は「桜土手どら」を焼いていたんですよ。
日曜返上でですよ、高齢者が。
で、二人が帰ってきてからの話です。
女将が現場で風呂敷に包んだとのことでした。
注文主の妹さん?と姪の方に対応してもらったとのことで、本人は、そう、姪さんの言葉では「おじさんはぱにくっているからいけんで。」とのことでした。
で、わかったことは奥さんを亡くして、ふるさと鳥取で四十九日の葬儀をされたとのことで、昔の鳥取の和菓子を注文されたようです。
作る私はこんなに多くの餡を今の時代に食べれるのかと思って作ってたんですが、なるほど、納得したんです。
ふるさとの鳥取の昔の元気なころのお菓子を使いたかったのではないかと。
近年はこの種のお菓子の注文は少ないので、なんらか想いがあると思いながら、そう、東京の方だからと色も控えめに作ったんです。
綺麗にできました。
昔のなつかしい形ではありますが、作って、箱に納め、掛け紙を掛けるんですが、結構いけてました。
そう思う。
そして思うんですが、他人事じゃない。我々夫婦もそんなに遠くなくどちらかが亡くなるわけです。
女将には私より長生きしてほしいと思います。
男が残されてもどうしようもないですよ。
お菓子が作れても他はぜんぜんだめなんです。
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