なんでもが物事というのは突然に起きるものです。
交通事故なんかもそうだし、交通違反の時も急におまわりさんが出てきたりします。
経験はありませんが、若いときに彼女から「できたの。」なんていわれるのも突然です。
昨日夕方に女将の弟、画伯が来ていたんです。
まあ、この画伯は痛風になるくらい酒が好きなんでスコッチをコップについだんです。
と、まあ、一緒に一杯ですむはずもなく、二杯に、そして酒が人を飲むぐらい、ついついやったんです。
だからよく寝ていたんだと思います。
何時だかわからない。
はばかるような小さな声で私を起こす声がする。
女将の声だ。
目をさますと暗いなかに女将が我が部屋の入り口近くに立っている。
「あれって、どろぼうじゃぁないか?あれ、火伏神社になんだかおるだが。」
すぐに起きて窓から下をみると、道路をはさんですぐにある神社の賽銭箱の側に赤い服の不審者がみえる。
こりゃあ賽銭どろぼうだゎと、すぐに廊下においている電話の子機をもってきて110番。
これって、このときの子機はボタンが光らないものでふだん使わないもの。きずかれぬようにと暗い中で110番するもののうまくできない。
仕方無しに小さな懐中電灯で照らしてつながったんです。
「あ!?こちら寿町910の藤田といいますが、いま、火伏神社で賽銭泥棒が‥‥‥。」
そんなとき相手の警察官てゆっくりとした感じなんですよね。まあ、そうすることによって通報者をおちつかせようとしているんでしょう。
「910番地というとホテイ堂さんというお店がありますが‥‥。」
「それですよ。そこから電話してます。」
ぜんりんの住宅地図を見ながら対応してるんじゃないかと思わせる間が感じられる。
力強いのは電話のむこうでパトカーに指図する硬い声も聞こえます。
アカイフクノフシンシャ‥‥
で、すぐに電話を切るのかと思いきや、聞くんですよ。色々と。
「犯人はいまどこにいますか?どのようにしてますか?」
「いま神社の建物ととなりの駐車場の間にいます。」
‥‥‥。
‥‥‥‥‥。
「髪はどうですか?」
「いや、短いです。あ、今駐車場の方に行きました。あ、車が来ました。タクシーです。いま、だれも見えません。あ、車がまた来ました。あ、パトカーです。」などと、これって110番へむかって実況中継ですよ。アナウンサーみたい。
で、覆面パトカーが来て降りてきた若い刑事さんへ二階から
「あ、そっち、そっち、そこですよ。」
と声掛けたら下から
「すみませんが降りてきて状況を説明していただけませんでしょうか。」
「いいですよ。」
と始まったのです。
目撃者への質問が。
同じ質問を何度も受けました。
まあ、これは確かなことを得ようとすることなんでしょう。
また、「顔はみましたか?似顔絵は作れませんか?」なんて聞かれても小さな街灯の下での犯人の姿は無理。
いやあ、たくさん白黒の車が来ましたよ。そして覆面パトも。
急に静かな寿町に活気がありました。
現場を調べる間はあたりまえにずっと待機。さらに我が部屋に刑事が上がってきて、私が窓を覗いている風な写真も撮り、現場でも同じく指差せぬまでも私が賽銭箱の近くに立ってまた記念写真。いや、違う。現場写真を撮ったんです。これって夜中なんですよ。救急車が来た時には近所の人がけっこう出てくるんだけど警察では誰も出てこないのも、なんとも‥。
と?少し先。
露地から少し太り気味の若い幹事のおっさんが小さな自転車で同じ道路に出てきて四代目が住んでる家へ曲がってはいったんです。
こんな夜中に誰だいや?とぶつぶつ言いながら若い刑事との話も途中に、すたすたと歩って見にいったんです。だってこれは不審者ですよ。後ろに刑事がついてくる。
ん?玄関に電気が点いている。自転車もある。ふ~んんん?四代目だったかな????
もとの場所にもどり、まだ続く質問。蚊がさす。
「蚊がおるで。」
「おりますね。」
若い刑事との会話。
「鳥取は事件がすくないでしょう?」
「いやぁ、ありますで。」
続くぎこちない会話。
ライトを点けた大型トラックが四代目の家よりももっと向こうの片原通りから入ってきて、電気器具の販売会社の前に止まり、さらにこちらへやってきた。
覆面パトが二台停まってて、その運転手が手まねしながら会話友達の刑事に「右へまがりたいんですけど。」
鍵をもってきてその刑事が車を動かすあいだに運転席から「なにがあったんですか?」との、また質問。
「あぁ、賽銭泥棒!」
「まじ!?」と少し驚いて、後、少し笑みを浮かべ頭をピョコンとさげて右へ曲がっていきました。
次には軽のワンボックス。
これは新聞配達。
「新聞配達か、今何時になっただろう?」と友達の刑事に聞くと、腕時計を自販機の明るさに向けて
「三時半です。」
はぁ、、、、ですよ。
なんのかんのととりあえず終わって部屋へ帰り再び寝ようと時計をみると4時。
ずっと興奮していた飼猫のもなかもやっと落ち着けれる時です。
少ししたらいつものことですが、弊店の前の豆腐屋さんの大将が缶コーヒーを買う自販機の音が聞こえてきました。
どうやら110番へ通報したのは2時半過ぎくらいで、あの小さな自転車に乗ってた不審者を見かけたのは3時ごろ?
今日いろいろと話を総合すると、小さな自転車の不審者は四代目で、しかも川端通りでJCの知り合いと話をしていたらパトカーが停まって
「赤い服を着た不審者を見なかったですか?」と質問されたとのこと。本人は「不審尋問じゃぁなかったで。」とのこと。でも朝の三時に錆びた中国製の自転車、
ちょっと変わった自転車に乗った少しおっさんは不審者ですよ。ワシ最初見かけたときそう思ったもん。
さらに事情徴収のあいだずっと女将は二階の窓からその様子をみていたとのこと。
これは同じ姿勢でずっとですよ。
きょうの朝。
「あぁ、あぁ、つった。背中がつった。いたい!痛いが!」と、膏薬を貼ってやりました。
一寸先も予想できなくて、突然に私は「目撃者」になってしまったのです。
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